パーソナリティの遺伝子解析(例:GeneLifeMyself)

国立精神・神経医療研究センター神経研究所で受けた質問紙調査では、TCIの7項目のうち「自己超越性」だけが標準の範囲より高かった。

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「損害回避」「自己志向」「協調性」も低めである。「協調性」が低いというと悪いことのようだが、過去にこだわらず、未来に不安にならず、自責的ではない、ということは、不安や抑うつの傾向が弱いことを示している。

あるいは、良くも悪くも、起こることを自分の責任(自責的)とも考えず、他人に責任転嫁〔他責的)もせず、運を天に任せる、という傾向があるともいえる。

しかし、これだけでは、先天的な遺伝的素因によるものか、後天的な人格形成か、あるいは質問紙に答えるときの自己イメージによるバイアスなのかは、はっきりしない。(この傾向は、ブラジルでアヤワスカ茶を服用しつづけたときにみられるパーソナリティのパターンに似ている(→「アヤワスカ茶による脳機能とパーソナリティの変化」)

クロニンジャーは、自己超越性は後天的に発達するものだとしているが、じっさいには遺伝的な要因が高いことがわかっている。

「GeneLifeMyself」の解析結果では、遺伝的にクロニンジャーのTCIの「自己超越性」が高いと出た。

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自己超越性はセロトニンと関係しそうだが、ここではアドレナリン(エピネフリン)とかかわる2個の遺伝子とのかかわりが示されている。

たしかにパーソナリティの遺伝率は高いが、多数の遺伝子が関わっているので、一個か二個の遺伝子では全体の数%しか説明できないことには留意する必要がある。



記述の自己評価 ★★★☆☆
CE 2020/10/11 JST 作成
CE 2020/10/17 JST 最終更新
蛭川立