睡眠と覚醒のリズム

睡眠時にはレム睡眠(Rapid Eye Movement sleep)とノンレム睡眠(Non-REM sleep)が周期的に繰り返される。「REM」とは「Rapid Eye Movement: 急速眼球運動」のことである。

通常、入眠時はまずノンレム睡眠に入り、それから約90分ごとにレム睡眠レム睡眠を繰り返し、最後はレム睡眠から覚醒する。目ざめたときに覚えている夢は、この覚醒直前のレム睡眠の体験である。じっさいには一晩に二個以上の夢を見ているのだが、それは思い出せないことが多い。夢などまったく見ないという人もいるが、それは見ても忘れているだけである。レム睡眠のときに無理に起こせば、その時点での夢を想起できる。

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睡眠時の脳波をグラフ化したヒプノグラム(hypnogram)[*1]

この睡眠と覚醒のサイクルを概日リズム(サーカディアンリズム: circadian rhythm)という。「circa」というのはラテン語で「およそ」という意味。概日リズムには、遺伝的な個体差があるのだが、一般に24時間よりも長い。概日リズム睡眠障害のうち、睡眠時間が後退していくものを睡眠相後退症候群という[*2]



睡眠と夢の一般論についてはすでに多くの記述があり、これ以上に屋上屋を架す必要はなかろう。

以前にTBSの健康番組『回復!スパスパ人間学』が睡眠と夢の特集を組むというので、取材を受けたことがある。睡眠の生理学的な件については国立精神・神経センター精神保健研究所(当時)の三島和夫[*3]、夢の臨床心理学的解釈については大妻女子大学福島哲夫[*4]と、それぞれの専門家のところを訪ねたが、日本で明晰夢の研究をしている学者はほとんどおらず、取材班は東邦大学理学部の渡辺恒夫教授(後に明治大学情報コミュニケーション学部講師)に打診し、その紹介で同じ理学部で心理学の講師をしていた蛭川、さらにその紹介でスタンフォード大学(当時)のスティーブン・ラバージのところへ向かった。

この番組は西暦2000年8月3日に放映されたが、それから二十年が経った今、同じ番組の企画をしたとしても、上記の人選でを変える必要はないかもしれない。それだけ取材班に先見の明があったのか、それともあまり研究が進んでいないのか。



記述の自己評価 ★★★☆☆
(大まかな概論であり、医学的な正確さは不十分である。)
2017/02/01 JST 作成
2019/10/04 JST 最終更新
蛭川立

*1:Wikipedia睡眠」より引用。脳波をとるといった大がかりな方法を使わなくても、スマートフォンのアプリでおおよそのヒプノグラムを計測できる。(→「スマートフォンの睡眠記録アプリ」)

*2:同じブログ内の「睡眠相後退症候群」に、蛭川による「当事者研究」の体験談を書いたが、2017年4月には概日リズムが24時間10分であった。

*3:2019年4月より秋田大学大学院医学研究科教授。ナショナルジオグラフィックの『睡眠の都市伝説を斬る』や『研究室に行ってみた 国立精神・神経医療研究センター 睡眠学 三島和夫』などの記事が一般向けに参考になる。

*4:後日、ご本人に伺ったところでは、学術的な部分の話はカットされてしまい、面白おかしく語った部分だけが編集されてしまった、とのこと。これには全く同意見で、お互いにテレビ初出演にして、取材に対する免疫が形成された。