NMDA型グルタミン酸受容体と神経保護作用

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グルタミン酸は興奮性の神経伝達物質である。

https://www.researchgate.net/profile/Stephen_Stahl2/publication/233789754/figure/fig3/AS:202690555584520@1425336602682/Five-glutamate-pathways-a-The-cortical-brainstem-glutamate-projection-is-a-descending.png
グルタミン酸作動性ニューロンの5つの経路[*2]

グルタミン酸

L-グルタミン酸(Glu)神経伝達物質であり、グルタミン酸受容体は主に5種類存在するが、とくに、NMDA(N-メチル-D-アスパラギン酸)型グルタミン酸受容体が重要な役割を果たしている。

https://stm.sciencemag.org/content/3/102/102mr2/F1.large.jpg
グルタミン酸作動性ニューロンシナプス[*3]
 
http://humanphysiology.academy/Neurosciences%202015/Images/1/NMDA%20receptor%20www.frca.co.uk.jpg
NMDA型受容体の結合部位[*4]

グルタミン酸は、NMDA受容体のアゴニスト(作動薬)ではあるが、D-セリンと同時に、PCP結合部位に結合してアゴニストとして活性化される。

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グルタミン酸が減少すると統合失調症になり、増加しすぎると細胞死を引き起こすという仮説の模式図[*5]

ケタミン

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麻酔薬の作用機序
 
https://europepmc.org/articles/PMC4133098/bin/nihms611802f3.jpg
ケタミンが作用する受容体[*6]

ケタミンはNMDA受容体のアンタゴニストとして作用し、グルタミン酸の過剰による神経死を阻害する。またシグマ-1受容体(σ1R)のアゴニストとしても作用し、神経を保護する作用もある。

5-HT2A受容体のアゴニストとしても作用し、精神展開体験や抗うつ作用をもたらす。同時に、オピオイド受容体に作用し、解離作用をもたらす。

DXM

鎮咳去痰薬つまり咳止め薬として、オピオイド系鎮痛薬が使われる。「コンタック」にはジヒドロコデインが含まれているが、「メジコン」に含まれているデキストロメトルファン(Dextromethorphan, DXMまたはDM)はオピオイド系鎮痛薬であり、またケタミンと同様、グルタミン酸作動性ニューロンの活動を抑制する。

https://www.nuedextahcp.com/sites/default/files/inline-images/DM-binding%402x.jpg
DMはシグマ-1受容体に結合し、グルタミン酸の放出を抑制する[*7]
 
https://www.nuedextahcp.com/sites/default/files/inline-images/NDMA-receptor%402x.jpg
DMはNMDA受容体のイオンチャネルを塞ぎ、阻害する[*8]

DXMの代謝産物であるDXO(dextrorphan: デキストルファン)も同様の作用を持つ。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/1/1e/DXM_metabolism.png
DXMの代謝[*9]

臨死体験と抗うつ作用

臨死体験は精神展開薬の作用と似ているので、低酸素状態で内因性DMTが放出され、シグマ-1受容体を介して神経保護作用を示すと同時に、5-HT2A受容体のアゴニストとしても作用し、精神展開体験を引き起こすと考えられている。

いっぽう、臨死体験は、体外離脱体験のような解離体験をともなうことも多い。この解離作用は、ケタミンやDXMのような物質がNMDA受容体に作用することによって引き起こされると推測される。

ケタミンは、DMTやシロシビンのようなインドール系精神展開薬とならんで、うつ病、とくに治療抵抗性うつ病の応急措置としての可能性が研究されており、イギリスでは保険適用外での処方が始まっている[*10]



記述の自己評価 ★★★☆☆
(インターネット上の記事を集めたものであり、学術的な正確さは保証されない。基礎的な用語の解説が不足しているので、学習用教材としては不親切。)
CE 2020/10/29 JST 作成
CE2020/10/30 JST 最終更新
蛭川立

*1:免責事項にかんしては「Wikipedia:医療に関する免責事項」に準じています。

*2:Thomas L. Schwartz, Shilpa Sachdeva, and Stephen M. Stahl (2012). Glutamate Neurocircuitry: Theoretical Underpinnings in Schizophrenia. Frontiers in Pharmacology, 3, 195.

*3:Daniel C. Javitt, Darryle Schoepp, Peter W. Kalivas, Nora D. Volkow, Carlos Zarate, Kalpana Merchant, Mark F. Bear, Daniel Umbricht, Mihaly Hajos, William Z. Potter, and Chi-Ming Lee (2011). Translating Glutamate: From Pathophysiology to Treatment. Science Translational Medicine, 3(102), 102mr2.

*4:Glutamatergic Transmission

*5:神経の働きを調節する新たなメカニズムを発見 鈴木 将貴(解剖学)|KOMPAS

*6:https://europepmc.org/article/med/24257811

*7:TREATMENT FOR PSEUDOBULBAR AFFECT (PBA) & NUEDEXTA DOSING INFORMATION」『NUEDEXTA』(2021/11/15 JST 最終閲覧)

*8:TREATMENT FOR PSEUDOBULBAR AFFECT (PBA) & NUEDEXTA DOSING INFORMATION」『NUEDEXTA』(2021/11/15 JST 最終閲覧)

*9:Dextromethorphan」『Wikipedia』(2021/11/15 JST 最終閲覧)

*10:Ketamine Service - Oxford Health NHS Foundation Trust(同じページの下のほうに、ケタミンはどのように作用するのか、二分間の解説動画がある。)