脳の系統発生
脳の系統発生と個体発生の過程を振り返ると、その複雑な構造の成り立ちがわかる。
「脊椎動物の脳」も併せて参照のこと。哺乳類においては、サル目(霊長類)と並んでクジラ目(鯨類)で大脳が発達している。
脳の個体発生
「個体発生は系統発生を繰り返す(Die Ontogenese rekapituliert die Phylogenese.)」と言ったのはヘッケルだった。
ヘッケルが1874年に公刊した『Anthropogenie』の挿絵[*2]
受精卵に始まる[*3]個体発生のプロセスは、単細胞生物に始まる系統発生のプロセスの繰り返しである。外胚葉が陥没して形成された神経管の先端が膨らみ、脳が形成される。
ヒトの中枢神経系の発生過程[*4]
CE 2018/11/04 JST 作成
CE 2021/05/11 JST 最終更新
蛭川立
*1:村上 安則 (著)・ 徳野 博信 (編)(2015). 『脳の進化形態学 (ブレインサイエンス・レクチャー 2)』 共立出版, 243.(孫引き)
*3:後生動物の精子は後部に枝分かれのない鞭毛が一本あり、共通祖先である原生生物の形態を残している。
*4:川村光毅「脳の形態と機能―精神医学に関連して I. はじめに」(2019/10/25 JST 最終閲覧)。なお、胎生齢(受精齢)は受精時を起点とするもので、たとえば胎生0〜6日を「胎生0週」とする。一般に使用される妊娠週数(在胎週数)は、妊娠前の最終月経開始日を0日とするが、最終月経開始日の14日後(2週間後)に排卵〜受精が起こると仮定すると、胎生0〜6日、つまり胎生0週は「妊娠2週」と数えることになり、2週間のずれが生じる。しかし、この2週間(14日)は、ヒトの月経から排卵の平均日数であるが、個人差もあり、種による違いもあるため、妊娠週(在胎週)は医療上の目安であって、胎児の正確な齢ではない。