精神医学・臨床心理学

【資料】ガーフィンケル「エスノメソドロジー命名の由来」

さて、当座のあいだでも、こういった内容を覚えておくためのレッテルを見つけなくてはならない。どうしたら覚えておけるのか。「エスノメソドロジー」を使い始めたのは、このようなわけなんだ。「エスノ」という言葉は、ある社会のメンバーが、彼の属する社…

【文献】『妄想はどのようにして立ち上がるか』

一般に「妄想」とは、反証事例によっても訂正が不可能な信念として定義される。 妄想の形成 『妄想はどのようにして立ち上がるか』には、訂正不可能性によって妄想を定義できるかを調べた実験が紹介されている。実験の手続きを敢えて単純化すると以下のよう…

妄想と陰謀論

妄想 認知バイアスが、誤った、揺るぎない、訂正不可能な信念(belief)となると、それは妄想(delusion)と呼ばれる。妄想は、しばしば精神疾患の症状として体験される。統合失調症では被害妄想や関係妄想が、躁病では誇大妄想が、うつ病では微小妄想があら…

向精神薬の開発史とセレンディピティ

向精神薬の開発史 1804 モルヒネの単離 地中海のケシから 1855 コカインの単離 アンデス先住民のコカから 1893 メタアンフェタミンの合成 漢方のマオウに含まれるエフェドリンから(日本で) 1897 メスカリンの単離 メキシコ先住民のペヨーテから 1903 バル…

入眠時幻覚と睡眠麻痺

通常、入眠後はまずノンレム睡眠に入るが、入眠直後から始まるレム睡眠を、入眠時レム睡眠(SOREMP: sleep onset REM period)と呼ぶ。過眠症の一種であるナルコレプシーに特徴的な現象だが(→「過眠症」)健常者でもふつうに体験される。入眠時幻覚(入眠期…

睡眠と覚醒のリズム

睡眠時にはレム睡眠(Rapid Eye Movement sleep)とノンレム睡眠(Non-REM sleep)が周期的に繰り返される。「REM」とは「Rapid Eye Movement: 急速眼球運動」のことである。通常、入眠時はまずノンレム睡眠に入り、それから約90分ごとにレム睡眠とレム睡眠…

【文献】草間彌生『すみれ強迫』

すベてがどうでもいいわけではない。投げ出しているのでもない。サチコは思う。この世の摂理がわかっているのだ。花と星と雲と風が教えてくれることだけで充分なのだ。狂っているんじゃないと私は理解しているの。脳病院にゆくのはいい。でも私の頭の中には…

【資料】西丸四方『狂気の価値』

躁鬱病プラス分裂病・ある天才画家 私は三十年来、ある女性の画家を知っている。彼女が田舎の公民館で個展を催したときに、偶然出会い、その狂的な抽象画に圧倒されるほどの迫力を感じた。これは物真似でない本当の抽象画だと思って、その画家に会ってみた。…

心理学における「異常」と「超常」

超心理学(parapsychology)とは、超常現象(paranormal phenomena)を対象とする心理学の一分野である。しかし、「超」心理学や「超」常現象という訳語は、いささか意味不明である。あるいは、一種の「いかがわしさ」さえ感じさせる。以下、断りがないかぎ…

【資料】ヒポクラテス「婦人病」

女性が突然、言葉が話せなくなった場合は、両脚、両膝、両手が冷たくなっているのに 気付かれよう。このとき子宮に触ってみると、きちんとした位置にはない。患者は心臓がどきどきして歯ぎしりをし、多量に発汗する。その他にも神聖病におそわれた者に現われ…

【資料】ファイヤアーベント『方法への挑戦』

歴史が提供するゆたかな素材を見つめる人々、より低級な本能を喜ばせるために、すなわち明晰性、精確さ、「客観性」、「真理」という形式の中で知的な事柄における安全性を切望する気持を満たさんがために、その素材を貧しいものにするつもりのない人々にと…

精神疾患の分類

精神疾患の診断基準のアメリカ的〜グローバル・スタンダードである、DSM-5の章立ては、おおよそ、以下のようになっている。 1、神経発達障害 2、統合失調症(精神病性障害) 3、双極性障害 4、抑うつ障害 5、不安障害 6、強迫性障害 7、心的外傷後ス…

錯覚・幻覚・認知バイアス

幻覚(hallucination)とは、入力のない感覚情報を体験してしまうことであり、錯覚(illusion)とは、入力のあった感覚情報を歪めて認識してしまうことである。 錯覚と幻覚 火星の人面岩(Face on Mars)[*1] ほんらい意味のないパターンに人間の顔など、意…

精神展開薬(サイケデリックス)

精神展開薬(psychedelics: サイケデリックス)は、単純明快な分子構造でありながら、特異体験、神秘体験、あるいは宗教体験といった強い変性意識状態を引き起こすことから、こうした体験が意外に単純なメカニズムで引き起こされることを示唆している。しか…

神経伝達物質と向精神薬

神経系を構成する細胞を神経細胞(neuron: ニューロン)という。 神経細胞の模式図 樹状突起(dendrite)から伝わった興奮(excitation)が細胞膜の電位差として軸索(axon)を伝導(transmission)していく。神経終末(nerve ending)のシナプス(synapse)…

【資料】水木しげる『幸福になるメキシコ』

水木しげるのメキシコ先住民儀礼体験[*1] 水木しげるの精神展開体験が、氏独特の、薄気味悪く、かつ、どこかユーモラスな筆致によって描かれているが、子宮への回帰という元型的な体験はまた、メキシコ先住民ウィチョールの、ウィリクタへの旅という世界観と…

向精神薬の分類 ー民俗分類と医学的分類ー

「『ダメ。ゼッタイ。』君」(薬物乱用防止「ダメ。ゼッタイ。」のイメージキャラクター[*1]。) 公益財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センターのWEBサイトにある「乱用される薬物」[*2]には、「ICD-10(WHO国際疾病分類)に基づき日本で使用する精神作用物質…

【資料】フロイトのテレパシー論

いとしいマルタ ぼくたちのあいだに働いているテレパシー的共感のせいで君は聖霊降臨節をぼくよりもたのしくは過ごさなかったようだね、もしそうだとしたらそれは非常に困ったことだ。(後略) マルタ・ベルナイス宛書簡(1885年5月26日) 恋文の中での戯れ…

興奮するモダン/沈静するポストモダン

コカ・コーラの秘密のレシピ アンデスのケチュア人は「嘘をつくな、盗むな、怠けるな(ama sua, ama llulla, ama quella)」を挨拶の言葉として使うほどに謹厳実直な人々であった。彼らの心性を象徴する薬草がコカであり(→「勤勉と強迫の文化」)西洋人がそ…

集合的無意識と共時性ーユングの著作を中心にー

Carl G. Jung 1875-1961 「神を信じますか?」と聞かれたユングは「信じる必要はありません。知っています」と答えた[*1]。 星の王子さまは「大切なものは、目には見えない[*2]」と言っているが、カール・グスタフ・ユング(Carl Gustav Jung: 1875〜1961)…

向精神薬の呼称

向精神薬の意味は混乱している。それが神経細胞という物質にはたらきかけると同時に、服用した当事者は個々人に依存した精神的体験を引き起こすからであり、また嗜好品として用いられたり、法的に規制されたりする場合、独自の分類名が併用されるからである…

日照・自殺・殺人

自殺率の地域的な偏り 自殺率の国別統計(2016年)[*1] 自殺率は国や地域によって大きく異なる。自殺の理由もさまざまであるが、社会、経済的な問題が背景にあったとしても、ストレスに対する脆弱性には個人差もあり、うつ病という病気による病死という客観…

オーストラリア先住民美術

岩壁画 オーストラリアにおける絵画の伝統は、この大陸に人間が移住した5万年前に遡ることができる。 ノーザン・テリトリーのジャビルーを中心とするカカドゥ地域 カカドゥ国立公園 ウビルーの岩壁画 ハエが多いので顔全体を覆わなければならない 壁画は長年…

精神疾患と創造性

統合失調症と双極性障害 精神疾患と創造性との関係は、かねてより議論されてきた。精神疾患に罹患していた学者や芸術家についての病跡学的な研究はさかんに行われてきたが、大規模な集団を対象とした統計的研究が進んできたのは、この十年ほどである。 統合…

アヤワスカの生化学

この記事には医療・医学に関する記述が数多く含まれていますが、その正確性は保証されていません[*1]。検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。この記事の内容の信頼性について検証が求められています。確認のための文献や情報源をご…