内因性DMTの日内変動と子宮収縮作用

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陣痛促進剤としてのDMT

アマゾン川上流域の先住民族には、アヤワスカ茶を、宗教儀礼のためだけではなく、難産の女性にも飲ませる習慣がある。

これは、アヤワスカ茶の原料植物であるチャクルーナに含まれるDMTが子宮収縮作用を持ち、陣痛を促進することを示唆している。

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N,N-ジメチルトリプタミン(左側にインドール核がある)

チャクルーナと同様、DMTを含むヤマハギをハムスターに投与したところ、子宮の収縮が確認された[*2]。(→「ヤマハギの文化と薬理作用」)

現在、陣痛促進剤としてはオキシトシンが使われているが、かつてはDMTと同じインドールアミンである、エルゴタミンが使われていた。

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エルゴタミン(左下にインドール核がある)

最初の人工合成サイケデリックス(精神展開薬)であるLSDは、スイスの生化学者アルベルト・ホフマンによって、麦角アルカロイドであるエルゴタミンから陣痛促進剤を合成する過程で、偶然に発見された。

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LSD(左下にインドール核がある)[*3]

分娩の日内変動

ヒトの分娩には日内変動がある[*4]

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日本での統計では、分娩のピークは平日の昼過ぎだが、その大多数は陣痛促進剤によって誘発されたもので、病院の開業時間と相関している。

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https://stat.ameba.jp/user_images/20170707/06/dodson/3f/03/g/o0588027313976848520.gif?caw=800

しかし、助産所における自然分娩だけのデータをみると、早朝の5時ごろにピークがある。

このことは、内因性DMTが朝の時間帯に多く分泌され、これが子宮の平滑筋を収縮させ、分娩を促進している可能性を示唆している。

また、分娩時に精神展開薬を服用したときと同じような神秘体験や至高体験が起こることがあるが、これは、出産という出来事に対する精神的な感動だけではなく、内因性DMTの生理的な作用によるものかもしれない。

内因性DMTの日内変動

しかし、ヒトの体内における内因性DMTの日内変動については、朝の時間帯に多いという傾向が知られているが、まだはっきりした証拠が得られていない。

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トリプトファンからセロトニンメラトニン、NMT、DMTが合成される過程。内因性DMTはインドールアミンN-メチル基転移酵素(indolethylamine-N-methyltransferase (INMT))によって合成され、モノアミン酸化酵素(MAO)によってすみやかに分解されるため、体内の内因性DMT量はINMTの合成量に依存する[*5][*6]

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ピノリンとメラトニンの生合成[*7]

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メラトニンの合成と分解[*8]
 
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セロトニンメラトニンの日内変動
 
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尿に排出される内因性NMT/DMTの日内変動。前駆体であるNMTが夜の時間に多く形成され、DMTは朝の時間帯に多い[*9]

尿中に排出される内因性DMTはごく微量であり、2リットル以上の尿がないと充分な分析ができない。しかし、2リットルの尿を採取するためには、1回の排尿では足りない。数回の排尿を行うためには、数時間の時間が必要になる。だから、日内変動についての時間解像度の高い研究ができない。

脳脊髄液中のDMT濃度(尿中の100倍以上の濃度[*10])を計測するれば、より正確な研究ができるだろう。



記述の自己評価 ★★★☆☆
(一般向けの記事を箇条書きにした仮説であって、学術的な厳密さは保証されない。)
CE 2020/08/24 JST 作成
CE 2020/12/04 JST 最終更新
蛭川立

*1:免責事項にかんしては「Wikipedia:医療に関する免責事項」に準じています。

*2:後藤實・野口友昭・渡邊武 (1958). 有用天然物成分の研究 第17報植物中の子宮収縮成分の研究 その 2 ヤマハギ中の子宮収縮成分について YAKUGAKU ZASSHI, 78, 464-467.

*3:LSD Structure」『Wikimedia Commons』(2020/11/01 JST 最終閲覧)

*4:柴田悦治 (2017).「ワクチンと陣痛促進剤」『好奇心を満たせば、あなたの育児は本当に楽になる』(2020/11/02 JST 最終閲覧)(おそらく孫引き)なお、ここではデータを紹介したのみで、自然分娩のほうが陣痛促進剤を使うよりも良いとか、瞑想のほうが精神展開薬を使うよりも良いといった主張をしているわけではない。

*5:https://pdfs.semanticscholar.org/3ad3/8113162ce0158200831dfa00346dfb5c92c0.pdf?_ga=2.97817055.1174857786.1607007236-1547870655.1600482858

*6:Jon G. Dean, Tiecheng Liu, Sean Huff, Ben Sheler, Steven A. Barker, Rick J. Strassman, Michael M. Wang & Jimo Borjigin (2019). Biosynthesis and Extracellular Concentrations of N,N-dimethyltryptamine (DMT) in Mammalian Brain. Scientific Reports, 9.(孫引き)

*7:[PDF] Neurogenic Potential Assessment and Pharmacological Characterization of 6-Methoxy-1,2,3,4-tetrahydro-β-carboline (Pinoline) and Melatonin-Pinoline Hybrids. | Scinapse

*8:https://www.researchgate.net/figure/Dark-light-signalling-melatonin-synthesis-and-metabolism-The-RHT-is-the-neural-pathway_fig2_259435571

*9:Michael C. H. Oon, Robin M. Murray, Richard Rodnight, Marion P. Murphy & James L. T. Birley (1977). Factors affecting the urinary excretion of endogenously formed dimethyltryptamine in normal human subjects. Psychopharmacology, 54, 171–175.

*10:ジメチルトリプタミン」『Wikimedia』(2020/11/01 JST 最終閲覧)