人類の進化と大脳化

霊長類の進化

中生代の終わり、6500万年前に恐竜が絶滅した後、新生代が始まる。昼行性の恐竜に対し、夜のニッチでひっそりと暮らしていた哺乳類(有胎盤類)が急速に適応放散した。霊長類(サル目)も、このときに登場した。

霊長類は樹上生活に適応した動物であり、立体視ができ、初めは夜行性だったがその後、昼行性となり、色覚が進化したという特徴がある。(→ヒト以外の主な霊長類[*1]


新生代における霊長類の進化[*2]

霊長類の進化、そして人類の進化のプロセスには、背景となる気候変動が大きな影響を及ぼしたと考えられている。

新生代は全体的に氷河期に向かう寒冷化の時期であり、人類の祖先が縮小する熱帯雨林を出てサバンナで二足歩行をするようになったのも、こうした寒冷化の影響があった。より短い時間のスケールでは、7〜1万年前のヴルム氷期(最終氷期)は現生人類がアフリカを出て世界各地に拡散していった時期と重なっている。

その後の間氷期(つまり現在に至る時代)の温暖化のピークは約7000年前であり、日本では縄文海進期に相当する。太陽黒点の観測が始まった後では、17世紀に小氷期があったと推定されている。

ヒトの進化

ヒトの祖先は、およそ500万年前[*3]に、チンパンジー属とゴリラ属の共通祖先から分岐した。その後、多数の系統に枝分かれしながら、現在に至っている。


大型類人猿とヒトの系統[*4]


化石人類の系統樹[*5]


ネアンデルタール人は主にヨーロッパに住んでいたが、4万年前に絶滅した。アフリカを出た現生人類がヨーロッパに到達したのが4万5千年前なので、両者は数千年間共存していたと考えられる。あるいは、現生人類がネアンデルタール人を滅ぼしたのかもしれない。

遺伝学的な研究は、現生人類のゲノムの中にネアンデルタール人に由来すると思われる遺伝子が多数含まれていることから、両者は交雑したのだとも推測される。この場合、ネアンデルタール人は現生人類の亜種 Homo sapiens neanderthalensis ということになる。


蛭川のゲノムに含まれるネアンデルタール人の遺伝子。染色体全体に広く分布している[*6]

大脳化

人類が他の生物と大きく異なるのは、その脳のサイズであるが、この大脳化は、最近200万年の間に、急速に起こったと推測されている。


主要な化石人類の頭蓋骨[*7]


化石人類の脳容量。右下の赤線は現生のチンパンジーであり、初期の化石人類と脳容量がほぼ等しい[*8]

大脳化の要因については、複数の仮説がある。生活形態が樹上生活から地上生活に変わり、二足歩行を始めることで両手が自由になり、道具を使うことで、思考能力が発達したという説もあるが、化石人類が二足歩行を始めた400万年以上前であり、本格的に大脳化が始まったのは200万年前なので、かなりの時間差がある。

草食性だったとされるパラントロプスは大脳化せず絶滅していったことからすると、食性が肉食に変化したことが大きな要因かもしれない。



2017/04/20 作成
2019/05/05 JST 最終更新
蛭川立

*1:日本モンキーセンター日本モンキーセンター Webサル図鑑」(2019/04/19 JST 最終閲覧)

*2:京都大学霊長類研究所世界の霊長類、その歴史、現生種の系統図、写真」(2019/04/19 JST 最終閲覧)

*3:共通祖先の化石が見つかっていないので、年代の推定には分子時計を使うしかないのだが、その計算方法によって分岐年代には誤差が出る。

*4:Which apes did man evolve from? Have scientists found a fossil from the transitional form of this ape? Quora. (2019/04/19 JST 最終閲覧)

*5:NHKスペシャル「人類誕生」製作班(編) 馬場悠男(監修)(2018).『NHKスペシャル 人類誕生』学研プラス, 9.

NHKスペシャル 人類誕生

NHKスペシャル 人類誕生

*6:23andMe社による分析

*7:Britannica Group, Inc. Increasing brain size. Encyclopedia Britannica. (2019/04/19 JST 最終閲覧)

*8:Steve Newton. (2008). Transitional Fossils Are Not Rare. National Center for Science Education. (2019/04/19 JST 最終閲覧)