現生人類とネアンデルタール人とデニソワ人 ーホモ族の三亜種?ー

2020年9月30日づけのNatureに「新型コロナウイルス感染症を重症化させるネアンデルタール人由来の遺伝的リスク」という論文が発表された。

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ネアンデルタール人に由来する、新型コロナウイルス感染症を重症化させるリスクを持った遺伝子の分布[*1]

感染が始まった中国など東アジアで感染者・重症者が少なく、ヨーロッパ系がマジョリティの社会で、なぜ多いのかを説明する仮説として、遺伝的な変異があるのではないかという仮説の一種である。

遺伝的な変異が要因なら、アメリカ大陸やオーストラリアなど、多民族社会で調査をすれば明らかになるのだろうが、この仮説は積極的に支持されていない。

しかし、コーカソイドネアンデルタール人に由来する遺伝子が多いのは事実で、研究の着眼点としては興味深い。

ヒトには3亜種があるのか

現生人類は、Homo sapiensという一種である。しかし、現生人類がアフリカからユーラシアに移住する前には、ネアンデルタール人Homo neanderthalensis)と、デニソワ人(Homo denisova、あるいは、Homo altaiensisという案があるが、正式な学名は、未決定)という先住者がいた。

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現生人類の拡散ルートと、ネアンデルタール人、デニソワ人の分布域[*2]

 
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3亜種の系統関係[*3]

現生人類は、ネアンデルタール人とデニソワ人を滅ぼしたわけではなく、交雑しながら交代していったと考えられている。これは、ネアンデルタール人やデニソワ人の化石から分離したDNAの塩基配列を分析できるようになって、明らかになってきた。

染色体上に広く分布するネアンデルタール人由来の遺伝子

アメリカの遺伝子解析サービス「23andMe」では、一万円で、唾液のサンプルから、ネアンデルタール人由来の遺伝子を調べてくれる。

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蛭川の染色体上でのネアンデルタール人由来の遺伝子の分布

すべての遺伝子を正確に調べたものではないが、ネアンデルタール人由来の遺伝子が、常染色体上に広く分布していることがわかる。

もし、互いに交配可能なグループを同じ種とみなすのであれば、ヒト(Homo sapiens)という種に、現生人類(Homo sapiens sapiens)、ネアンデルタール人Homo sapiens neanderthalensis)、デニソワ人(Homo sapiens denisova)の3亜種がある、と整理することもできるだろう。



記述の自己評価 ★★★☆☆
(アイディアを書きとめたものであって、議論が不十分。)
CE2020/10/03 JST 作成
蛭川立