SARS関連コロナウイルスをめぐる用語

SARS関連コロナウイルス

西暦2019年に中国から感染が始まった「新型」コロナウイルス感染症が世界的に流行しているが、2002年〜2003年には、「旧型」コロナウイルス感染症の流行があった。これは、中国の国外にはあまり広がらなかった。

「旧型」コロナウイルスは、SARSコロナウイルスであり、「新型」コロナウイルスは、SARSコロナウイルス-2である。二つのウイルスは同種異株であり、まとめてSARS関連コロナウイルス(SARSr-CoV: Severe acute respiratory syndrome-related coronavirus)という。

SARS-CoV

「旧型」コロナウイルスの病原体は、SARSコロナウイルスSARS-CoV)である。

病原体 病気
欧文 SARS-CoV SARS
和文 SARSコロナウイルス 重症急性呼吸器症候群
中文 SARS冠状病毒 嚴重急性呼吸系統綜合症

SARS」は、「Severe acute respiratory syndrome」の略語であり、日本語に訳すと「重症急性呼吸器症候群」となる。

日本では一般に「新型肺炎」と呼ばれ、中国では「非典型肺炎」あるいは、略して「非典」とも呼ばれていた。

SARS-CoV-2

17年経って中国から流行を始めた新型コロナウイルスSARS-CoV-2)は、じつはSARS-CoVと同種異株である。おそらくSARS-CoVが変異したものが、ふたたび感染をはじめたのだろう。

病原体 病気
欧文 SARS-CoV-2 COVID-19
和文 新型コロナウイルス 新型コロナウイルス感染症
中文 嚴重急性呼吸系統綜合症冠狀病毒2型 2019冠状病毒病

以上のSARSコロナウイルス新型コロナウイルスを総称して、SARS関連コロナウイルスという。

日本では「新型コロナウイルス」または「新型コロナウイルス感染症」を略して、俗に「コロナ」と呼ぶようになった。「大阪のおばちゃん」である私の母親などは「コロちゃん」と呼び出す始末である。

学術用語で「コロナ」といえば、ふつうは太陽から放射される白い光のことであり、まぎらわしい。



CE2020/04/18 JST 作成
CE2020/05/06 JST 最終更新
蛭川立